文月四日。残暑が厳しいが、朝夕は涼しくなりました。

yatsugatake2005-08-08

8月に入って、早くも一週間が過ぎました。
列島は猛暑が続いたおかげで、早めに稲が穂を出し始めました。
「バケツ稲」ならぬ「2リットルのペットボトル稲」を、標本的に育て、観察しています。
そのコシヒカリが穂を出して、稲の花が咲きました。「賢治米」とされている陸羽132号の方は、種子から育てたためか少し遅れているようです。
稲は、主食であるお米が採れる「米の生る木」です。この花は興味深いものです。観察すると、たいへん楽しいものです。
午前中に夏の強い日差しを受け、エネルギーが吸収されたところで、稲の花はようやく咲き始めます。こうして、花が咲くのは晴れて暑い日の午前中の時間に限られます。
穎(えい)が、パカッと、二つに割れます。中から雄しべが細い糸を伸ばします。葯からは花粉がこぼれ出します。雌しべは基のところで、白い柔らかな毛をまとって花粉を待ちうけています。こうして、風媒花の稲の花は、そよと、風が吹いただけでも受粉できる仕掛けになっています。一本の穂の100個以上の花が、数日かけて順序良く咲きます。この決まりよさにも感心してしまいます。
稲にとって、この期間が大切なのです。花らしくは見えない稲の花は、花の働きからしてもたいへんデリケートなのです。強い風、大量の雨は困ります。一番困るのは、低温です。17度以下の温度では、花粉が受粉能力を失うといわれています。
もうしばらくの間は、人間は夏の暑さを我慢しましょう。
稲の、次の大敵はスズメの食害です。稔り始めの軟らかい時が被害甚大です。汁を吸うように、たくさんやられてしまいます。それにしても、水田全面に網を張ってしまうのは、スズメさんには気の毒に思います。昔は、案山子や雀追いでやっていたんですから…。
毎日いただいているお米のもと、稲にもっと注目したいと思います。