「佐久の季節便り」、岩村田・上の城址に息づく草木たち…。

薄雲が広がる空、浅間連峰は、頭に雪雲を被っています。

冷え込みも緩んで、どこそこに春の気配が感じられます。

アメダス、最低気温は氷点下4.6度(00:46)、日中は気温が上がる予報です。

昨日、岩村田小学校の校地に再設置された「記念碑」、この碑は岩村田城址の一画に建てられていたので、どんな内容が書かれているか、興味があります。

裏の碑面が汚れ、残念ながら、刻まれた文字が読み取れないのです。

手元にある、『信州岩村田藩物語』(中村勝実)のあとがき…、一部引用します。

岩村田城。その城跡にはいま佐久市岩村田小学校が建っている。いまその城跡を偲ぶものとしては、その小学校正門前の小高い丘に立つ「岩村田城址」の石碑と、城跡の招魂社だけである。明治四年の廃藩置県とともに、順次取り壊されたその建物は、文明開化の大波とともに封建の遺物として容赦なく捨てられてしまった。そのため今佐久市民の中でも、岩村田藩内藤家を知っていても、かつてここに岩村田城が存在していたことを知る人は少ない。

 だが、この城跡を訪ねたとき、いまなおそこには、旧藩時代からの古井戸や、土塁の一部がかすかにありし日の栄光の歴史を伝え、静かに城の昔を語ってくれる。(以下略)

この本が出版されたのが、平成元年ですから、30年も経過した現在の状況は、推して知るべしです。

城跡に立つ岩村田小学校が改築・新築中の今こそが、かつて、ここに存在した岩村田・上の城を後世に伝えるために為すべき対処…、最後のチャンスと考えます。

建物や石碑などのほかに、昔から立つ大木、土手に芽生える野草などからも、城の在った往時を偲ぶことができるように思います。

今も残る、老松や杏の切り株、大木・ケヤキクヌギ、カエデ、ヒマラヤシーダー、サイカチ、カラタチ、フタバハギ、原種のスミレ…。

御殿近くに「菜園」、生り樹木として、「豊後梅」・「柿」を植栽…の記述があります。

これらの点を、UEVC(上の城環境ボランティアクラブ)としても、位置づけて活動していくつもりです。

また、岩村田藩物語の冒頭に若桜」の項…、一部を引用します。

護国神社。そこはかつて岩村田城の天守閣と目された場所であった。城は文久二年(一八六二)から二年がかりで元治元年に完成したが、それから七年後の明治四年、廃藩置県とともにその姿を消した。短かった城の生命のように、西川の生涯もまた短かった。死を決した西川は、岩村田城のように“若桜”のままで、その生涯に終止符を打とうとしたのかも知れない。今でもこの境内には、植物採取が何より好きだったという西川の、ふみしめた足跡がはっきりとしるされている。そして大きな時代の転換期に散った岩村田城の歴史とともに、西川の死も静かに語っている。

 

岩村田城を築城した、岩村田藩は第七代内藤志摩守正誠(まさあきら)です。

幕府の要職を務め、浅田次郎歴史小説『一路』にも登場することから、「岩村田藩の殿さま」、「ひいちろう」の名は、今や全国区…。

地元の者も、岩村田藩主のことももっと知らないと…。

 

午後は、散髪に…、風はありましたが寒いほどではありませんでした。

アメダス、最高気温は7.8度(11:38)でした。