「佐久の季節便り」、空に「二十六夜」の月、賢治ゆかり・「石鳥谷のやまなし」…。

早朝5時前、まだ、暗いうちにに目覚めてしまいました。

東の空には、日付が替わってから出た、二十六日のお月さまが昇っています。(4:50)

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月の出時刻は、0:57(長野)で、出てから4時間ほど経過したところです、

賢治童話・「二十六夜」を思い浮かべると、夜行性動物たちの出来事です。

明るい場所の生活しかできない人間たち、このような動物たちの暮らしにも、思いをめぐらしたいものです。

朝になってからも、細く、白いお月さまが、頭の天辺・青空にかかりました。

アメダス、最低気温は13.0度(6:24)、布団干し日和になる予報です。

9時を回った頃、元気な子どもたちの声が…。

岩村田小学校4学年・当番学級が、総合的学習・「楓の時間」で、花壇の世話にやってきました。

ペットボトル水やりの必要がないので、秋の季節の植物・花を観察しました。

関心をもってくれた植物・花は、佐久市の花・コスモス、三尺バーベナオオケタデ、ハナ(カク)トラノオ、ダリア、マイクロトマトイヌタデなど…。

イヌタデ」については、ままごと遊びの「赤まんま」を話しました。

これで、本年の学習は最後、大人になってもこの体験を思い出してほしいです。

家族の皆さんには、どんなお話ができるかなな…。

「コスモス」については、夏休み明け頃、水に挿して発根した様子を観察しました。

「コスモス」の生命力を実感してもらいました。

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現地に案内されて拾った、正真正銘・石鳥谷のやまなし」を改めて手に取りました。

感動、これが、国語教材の「やまなし」実物そのものなのです。

板垣寛さんの著作・『続・賢治先生と石鳥谷の人々』を開いて、一緒に撮りました。

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楽しみにしていた「ゆかりの地」が目の前に…、板垣さんが急ぎ足でその場へ…。

「やまなし」の原風景と思われる薬師堂川 本文、p78から叙述を引用します。

 賢治は、その度ごとに花巻市のご自宅から花巻駅で記者に乗り、石鳥谷駅に降りて旧大瀬川道路を通われた。その道筋、つまり石鳥谷駅から西に約三、七キロメートルの地点には金鋳神社と呼ばれている、古びた小さい祠がある。そのすぐ北側には、私も小さい頃に沢がにを沢山つかまえた川がある。「春木流し」といって、西のやまで冬に薪を切っておいて春先の水の流れを利用して目的地まで流す水量があったものだ。しかし今は上流にダムが出来て止水され流れは少ない。その薬師堂川が一部、原形を留めている。

 前述した金鋳神社の祠のすぐ南側の道路に面した所には、杉の大木に邪魔されながら樹齢百年余と思われる「やまなし」の古木が二本現存して、今でも実をつけている。その西側の木は五月になればピンク色の花が咲き実が大きい。東側の方には真っ白な花が咲き、実が小さい。賢治はこの道を通り、その二本の木の下を通ったわけである。

 そしてきっと薬師堂川の水面をじっくり眺めては、祠の前の踏み段に腰を下ろして、やまなしの木の緑の葉の輝きに英気を養ったにちがいない。

 「やまなし」のヒントがここで得られたとしても不思議はないと思う。そんな思いから私は、第十七回宮沢賢治賞を授与された紫波町日詰在住であった故菊池忠二先生を現地にお連れし、その風景をお見せした。すると石鳥谷町好地地区で大正年間にお生まれの菊池先生は、農地の区画整理で河川改修がなされる前の状況に詳しいだけに、「賢治の童話やまなしの原風景としても、なんら矛盾するところはありませんね」と言われた。

 そして、「河川改修がなされなかった頃にはこの川辺に、もっとやまなしが点在してあったものだ」と私たちの地元の古老たちが話したと同じことを話された。

 ところで私共のこの集落には餓死供養塔が四基ある。このことは、かつて悲惨な飢饉があったことの証左である。そこでその飢饉に備えるために、昔の人たちは住宅の周りに柿の木、そしてやまなしの木などを植えた。その名残が今も残っている。

 そのようなことから、私は賢治の童話「やまなし」は、賢治が何回も通った、旧大瀬川道路の金鋳神社付近の川面を眺め、やまなしの木の下で五月の緑の葉の輝きに魅せられて、構想を練られたとしても不思議はないと考えている。

 しかし、私ごときがそれに固執するつもりはさらさらない。この点について別に検証が有られるならば、その見解をじっくり学び取らせて頂きたいと思う。 

 以上、板垣さんは自信を持ちながらも、謙虚な態度で書かれています。

 板垣さんは、当日、現地を案内されたときも同様な語り口で、説得力に満ち溢れておりました。

長い田圃道を歩いてきて疲れた脚に、木立は、一休みするには格好の場所…。

山女魚や沢蟹が棲む清流の水は、渇いた喉を潤すことも出来たんだろうな…。

翡翠カワセミ)、ヤマセミ…、川面を睨んでいたかもしれない…。

大正七年に建立された祠、大正十年に通った賢治…、建物はまだ木の香りもしただろうな…。

地元?の刀鍛冶を祀るという「金鋳神社」の小さな祠、賢治は好奇心を擽られたはず…。

感覚が鋭敏な賢治には、ヤマナシの立ち木を見ただけで、熟れた実とその香りが感じられたのかもしれない…。

現地の風景の中に佇み、空気に触れると、その場に居た賢治さんを、そのまま追体験している自分に気づきました。

「ここで、童話・やまなしを構想…、まったく疑いの余地はありませんね…」と、板垣さんに、何度も語りかけました。

改めて、国語教材・「やまなし」を読んでみましょう。

 

午後、図書館に寄り、明日のFm放送資料を届けました。

野良回りをして戻る頃には日が沈み、碑が短くなったことを実感しました。

アメダス、最高気温は24.5度(12:43)、秋晴れの好天気でした。