文月二十五日。日差し強い割りにさわやかな一日でした。

yatsugatake2005-08-29

「〜蝉が雨のやうに鳴いてゐるいつもの松林を通って、〜」
宮澤賢治の「さいかち淵」の一節、文学碑に刻まれているものです。
昨年の春、春季セミナー「ゆかりの地めぐり」に参加して、現地の方々にサイカチ淵辺りを案内していただきました。そのときいただいたサイカチの種子を撒いたところ、期待半ばだったのに、この春までに8本も発芽しました。その後の生長の様子を写真に撮って、T氏とA氏のお二人にお知らせし、ハガキのやり取りもしていました。
一昨日、再会することができました。旧知の友だちのように懐かしく話がはずみました。
まさに、「サイカチが取り持つご縁」です。交流会の席で司会者に指名されたので、お二人との関わりを紹介させていただきました。
A氏は92歳、子どもの頃に豊沢川で泳ぐ賢治先生を実際に見ていらっしゃる方なのです。
当時、現地にサイカチは生えていなかったそうです。そこで、今年になって1メートルほどに育ったサイカチを記念に植えたと、聞きました。
T氏は、さいかち淵の近くにお住まいで、映画ロケ地の保存などに今も尽力されています。
さいかち淵とは別の場所に、サイカチの巨木、花巻市の指定天然記念物があるそうです。
暗くならないうちにと、交流会を中座して連れていってもらいました。
かなり遠く、広い田んぼの真ん中にそびえていました。樹齢は定かでないとのこと、優に500年は経っているようです。「北笹間のサイカチ」と、書かれていました。
賢治さんも目にしたはずの巨木です。感動しました。

今朝、秋のように澄んだ青空に、昨夜の月が白く小さくかかっていました。スジ雲に吸い込まれてしまいそうに淡く儚げでした。
日中は、日差しが強い割には、気温が上がらず27.5度が最高でした。
ミンミンゼミに混じって、珍しくジージーアブラゼミのような鳴き声が聞こえました。
夜は、虫の音が一層にぎやかになり、期待のカンタン(邯鄲)のやさしい声が遠くから聞こえてきました。リューリューーリューリューリューリューリュー……
たどっていくと、空き地の草むらかで鳴いていました。